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生理学に基づいた、香りを嗅ぐことが必要な理由

「アロマセラピー」、「エッセンシャルオイル」。なんとなくオシャレそうなワードだけど、いったい何がよくて大切なのか。香りを取り入れることが今の私たちに必要な理由をお伝えします。

嗅覚からの吸収

エッセンシャルオイルの香りの分子は、鼻から吸い込まれると、鼻腔を通り嗅上皮という粘膜から吸収されます。成分を感知した嗅細胞からは電気信号が発せられ、大脳へと伝達されることで“香りを嗅ぐ”ことは心理面にパワフルに作用します。人間の脳の大部分を占める大脳は、思考や意志や言語などの知的な活動を司る大脳新皮質と、「快」「不快」感情や食欲といった本能を司る大脳辺縁系に分けられています。嗅覚は、五感のなかでもこの大脳辺縁系にダイレクトに働きかけるのです。視覚、聴覚、味覚、触覚の4つは大脳新皮質を経由するのですが、嗅覚は理性的な判断、つまり考えるより先に感情を生みます。つまり香りを嗅ぐことで、無意識レベルからリラックスした気分や、意欲を引き出すことができるのです。

呼吸からの吸収

エッセンシャルオイルは、揮発性(常温・常圧で空気中に蒸発しやすい性質)です。そのため、香りを吸入することでエッセンシャルオイルに含まれる成分は鼻、のど、肺と呼吸器系からも吸収されることがわかっています。香りを嗅ぐと、気管、気管支を通過して肺に到達します。そして肺胞で行われるガス交換によって、成分は毛細血管へと吸収されて全身を巡っていきます。芳香浴などによる呼吸器系からの吸収は比較的作用が穏やかなので、日々の中で心身のバランスを調整したい時などにも適しています。

皮膚からの吸収

本来、人間の皮膚の表面には皮脂膜や、角質の間を細胞間脂質に満たされ形成されている角質層によって、バリア機能が働いているため、物質が簡単には浸透できない構造になっています。しかし、エッセンシャルオイルは脂溶性で、分子の構造が非常に小さいため、この皮膚のバリア機能を通り抜けて体内に入っていくことができるのです。成分は、角質の隙間からだけでなく、毛穴や汗腺からも浸透することがわかっており、毛細血管やリンパ管から全身へと運ばれます。エッセンシャルオイルを植物オイルなどで希釈してマッサージをすれば、物理的な刺激と同時に、エッセンシャルオイルの浸透が血液やリンパ液の巡りなどを促し、体内の老廃物の排出にまで働きかけてくれるのです。

消化器からの吸収について

フランスやベルギーでは、医療の現場で医師の指示のもとメディカルアロマテラピーの専門家がエッセンシャルオイルのブレンドを行い、胃腸などの消化器から吸収する方法もとられていますが、粘膜への刺激などリスクもあるため、個人の判断で飲用は絶対に行わないでください。希釈なしでの肌への塗布についても同様です。

Edit SATORU SUZUKI
Text KUMIKO ISHIZUKA
【参照資料】
改訂新版 ニールズヤード式アロマセラピー レッスン
監修 ホリスティックスクール ニールズヤード レメディーズ
河出書房新社

こちらの情報は『CYAN ISSUE 020』に掲載されたものを再編集したものです。

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