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Rosemary

メンソールとは似て非なる、深緑感あふれる清涼な香り

学名:Rosmarinus officinalis
科名:シソ科
和名:マンネンロウ
主な産地:フランス、クロアチア、チュニジア、スペイン、モロッコなど

 学名の Rosmarinus officinalis は、“海の雫” という意味。小さなブルーの花を咲かせることや、カラッとした地域で良く育つ植物で地中海沿岸によく咲いていることなども、この学名の所以のよう。
「ローズマリーに含まれる、1.8-シネオールをはじめとする化学成分の集合体は非常に殺菌作用に優れています。昔は市場でお肉を買った時に、ローズマリーを一緒に一枝か、二枝包むことが防腐の役割を果たしていました。切り花を生けた花瓶にローズマリーの枝を一緒に挿しておくと水が劣化するのを防いだり、夏場などはペットの飲み水の防腐のためにローズマリーの葉をほんのひとつまみ入れる、といった使い方もされています。古くは“若返りのハーブ”として有名で、面白いことにマンネンロウという和名も漢字では万年郎と書き、常緑であることから永遠の青年、という意味を指しています。ローズマリーなどをアルコールに漬け蒸留したハンガリアンウォーターの逸話はとくに有名です。中世ヨーロッパ時代、ハンガリーの王妃がパシャパシャとオーデコロンのように体につけたり、飲用していたところ、70代にして隣のポーランドの30代の王子から求婚されるほど若返ったといわれています。男性にも人気のあるハーブで、あのナポレオンも自身が育ったコルシカにはたくさんの野生のローズマリーがあったため、故郷を思い出すローズマリーのコロンを愛用していたそうです」

キッチンハーブの代表としても知られているローズマリー。背の低い潅木で、産地のひとつ、チュニジアでは砂漠化を防ぐ目的でも栽培されている。「成長は遅いものの、育つととても丈夫です。オリーブオイルなどと相性が良く、料理に少し加えるだけで味わいが豊かになります。現在でも、ローズマリーは食品や化粧品の酸化防止に使われています。また、ローズマリーのハーブティーは、香りも良く殺菌効果もあります。昔はヘアリンスのような使われかたもしていたようです」

「精油の世界では、ラベンダーがリラックスのクィーンなら、ローズマリーはリフレッシュのプリンスといえます。ローズマリーの精油には、カンファーや1.8-シネオール、酢酸ボルニルといった化学成分が含まれていますが、昔から記憶を蘇らせる作用があるといわれているのは、とくにカンファーがその作用の鍵を握っていることが近年の研究からわかってきました。カンファーはさまざまな治癒力をもたらす化学成分で、血行促進や交感神経の活性化においてパワフルな作用を持っています。そのため、てんかんがある方には禁忌とされている精油でもあります。血圧が高めの方も避けておいたほうがベターです。すっきりと清々しい香りは、仕事や勉強の際に集中力が欲しい時、心を元気づけたい時に活躍してくれます。同じ1.8-シネオールを含むペパーミントとの組み合わせもおすすめです。血行を促す、温めて巡りを良くするという働きから、筋肉痛の緩和などスポーツマッサージのセラピストにもよく使われています」

Clary sage

深み、甘み、温かみを持った草の香りで女性の心身を励ます

学名:Salvia sclarea
科名:シソ科
和名:オニサルビア
主な産地:地中海沿岸など

 スクラレオールという特徴的な化学成分を含んでいるクラリセージ。
「この成分が女性ホルモンのエストロゲンと構造が似ているということで、ホルモンバランスを整えるのに役立つハーブといわれています。ただ、最近の研究においては、ホルモンバランスを整えるとは言い切れない、という説もあります。学名の Salvia sclarea の Salvia は救済、治療という意味で、クラリセージはセージの仲間ですが、その昔アラビア人はセージが庭にある家は病人が出ない、とまで言っていました。セージはハーブティーとして飲まれることが多く、精油となると刺激が強めなので、精油での利用はクラリセージが一般的です。クラリセージの精油には複雑な化学成分がたくさん含まれています。その香りは、やはり PMS などの鬱々とした気分、心配やパニックを落ち着かせたい時などに最適です。鎮痛作用があり、分娩を促してくれるということで、最近はクラリセージを使ったブレンドオイルを分娩時に持参する妊婦さんもいます。おすすめは、ジャスミンとの温かみや幸福感に満ちたブレンドや、心身の疲労感を和らげてくれるレモンとのブレンドなどです」

Lemon grass

花言葉は「爽快」「凛々しさ」高温多湿な環境と好相性のハーブ

学名:Cymbopogon citratus
科名:イネ科
和名:レモンガヤ
主な産地:インド、中国、スリランカ、中米、オーストラリアなど

 温かいところで育ち、シュッと細く伸びた葉は船や髭を思わせる、アジアンテイストの爽やかな香りが魅力のレモングラス。
「世界的に有名なタイのスープ、トムヤムクンには根っこの部分が使われています。レモンの香りの成分と同じシトラールが含まれるレモングラスには、実は2つのタイプがあります。Cymbopogon citratus という学名のものは、スリランカや西インド諸島、南米で生産されるウエストインディアン・レモングラス。こちらは土っぽさや草っぽさもあるレモンの香りが特徴です。そして Cymbopogon flexuosus という学名のものは、主にインドや東南アジアで生産されるイーストインディアン・レモングラス。こちらはシトラールという成分が強めで、レモンの香りがより際立ちやすいタイプ。シトラールは殺菌作用が強く、虫除けのハーブとしても知られています。温かいところは食べ物などが傷みやすいため古くから料理に使われており、レモングラスのハーブティーは眠気覚しや健胃の目的でも利用されてきました。重曹を使ってナチュラルクリーニングをされる方は、レモングラスの精油を混ぜるとカビの抑制にも役立ってくれると思います」

Marjoram

癒しと落ち着きをもたらす ユニセックスな印象のアロマ

マジョラムには、スィートマジョラムのほかに、タイムのような香りのスパニッシュマジョラム、寒さに強いウィンターマジョラムなどがある。スィートマジョラムは殺菌効果の高い化学成分を含んでおり、乾燥後も香りが失われにくい。古くから現代に至るまでハーブはお茶にしたり、パスタや肉料理などに利用されている。また、精油のなかにはイランイランのように “催淫作用” がうたわれるものがあるなかで、マジョラムには性的欲求を鎮めるという意味の “制淫作用” があるといわれている。ただし、その作用は科学的な根拠に基づくものではなく、修道院で使われてきたという歴史的事実に基づくものだそう。

学名:Origanum majorana
科名:シソ科
和名:マヨラナ
主な産地:フランス、ドイツ、スペイン、北アフリカなど

 草っぽさの強い、ハーベイシャスな香りを放つマジョラム。学名の Origanum majorana は、意訳すると “山からの大きなプレゼント” 。
「ギリシャ時代には、アフロディーテが作り出したハーブといわれ、神の力が宿った幸せのシンボルとして伝えられていたそうです。ほのかな甘みと温かみが感じられる香りなので、お墓に供えて死者を慰めたり、殺菌効果もあることから中世ヨーロッパではタッジマッジという伝染病から身も守るための花束にこのマジョラムも使われてもいたようです。イギリスでは、こういった花束を裁判官が持っていたという説もあります。犯罪を犯した人にたくさん会うなかで、邪気も含めいろいろな病気をもらわないように、という目的だったのではないでしょうか。精油もまた、ティートリーの精油に含まれるのと同じテルピネン-4-オールという化学成分によって殺菌や消毒の作用が高いことで知られています。
 マジョラムの香りには、ローズマリーが持つ血行促進の作用、ラベンダーが持つリラックス作用、2つを合わせたような “温めてゆるめる” 作用があります。精油には、ラベンダーと同じリラックス作用のある酢酸リナリルという化学成分が含まれています。そのため、リラックスしたいけれどラベンダーが苦手…という方にマジョラムをおすすめするセラピストは多いです。副交換神経を優位にして、血圧を下げる効果があります。鎮静効果に優れているので快適な眠りに入っていくためのアロマトリートメントに使われることも多いです。また、マジョラムとレモンのブレンドは、仕事のことがなかなか頭から離れない時など、オンからオフへ切り替えたい時におすすめです」

Teaching from…

鎮西 美枝子先生(ニールズヤード レメディーズ)
ホリスティックスクール ニールズヤード レメディーズ講師、AEAJ 認定アロマセラピスト、AEAJ 認定アロマセラピーインストラクター、JAMHA 認定ハーバルセラピスト、JAMHA 認定ハーバルプラクティショナー、JAMHA 認定日本のハーブセラピスト。アロマセラピーの歴史についての造詣の深さはもちろん、精油を用いた調香にも詳しい。

ホリスティックスクール ニールズヤード レメディーズ
アロマセラピースクールの先駆として、1996 年に開設。精油やハーブを用いた自然療法を本格的に学ぶ講座や、人気の「はじめてのアロマ香水」をはじめ、実践しながら楽しく学べる各種の1Day 講座など、充実した内容が魅力。現在は表参道校・大阪校があり、アロマセラピーの基礎を学べるベーシッククラスは両校にて毎月開講中。

Edit SATORU SUZUKI
Text KUMIKO ISHIZUKA

こちらの情報は『CYAN ISSUE 022』に掲載されたものを再編集したものです。

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