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Bergamot

アールグレイの香りづけに使われていることで有名

学名:Citrus bergamia
科名:ミカン科
和名:ベルガモット
主な産地:イタリア、モロッコなど

「ベルガモットの8割近くが栽培されているのは、長靴型をしたイタリア半島のつま先にあたる地域、カラブリア州です。いくつかの説がありますが、そのイタリアの南西部で採れた柑橘を、北部にあるベルガモという町で初めて香料として発売したことから “ベルガモット” と呼ばれるようになったようです。ベルガモットはデリケートな植物で、気象条件が変わると香りの質も変わりやすく、上質なものといえばやはりカラブリア州で採れたものが有名。果実は苦みが強いため食用には向きませんが、食品の香料や化粧品の香料によく使われています。18 世紀にドイツで流行した香水の元祖、現代にもレシピが受け継がれる “ケルンの水” は、ローズマリーなどのハーブと合わせてベルガモットが使われていました。ケルンの水は、まず北イタリアのフェミニスという人が前身となる “オーアドミラブル” という薬効のある不思議な水を生み出し、ケルンで発表したといわれています。それを後にイタリア出身のファリナという調香師が継承し、香水としてケルンの水を作ったとか。爽やかな香り立ちのケルンの水は、当時のセレブ、モーツァルト、ナポレオン、日本では森鴎外などに愛好されていたそうです。そしてこのケルンの水をフランス語に訳したのが “オーデコロン” というわけです。現在でも、ベルガモットの精油はオーデコロンの主成分としてよく用いられています」

「ベルガモットの旬は、レモンと同じ 11 月~3月。熟すほど青みから黄みを帯びます。精油には、心を鎮める作用のほかに、肌を整える作用もあります。抗ウィルス作用が高いので、セラピストの中には疲労時や熱が出た時など、免疫力が下がって口唇ヘルペスができてしまった時に、お水をたっぷり含ませた綿棒にベルガモット精油を1滴つけてちょんちょんと塗布してケアする人も。また、風邪予防に有効なユーカリを部屋に焚く時に、ベルガモットをブレンドしてあげるとリラックス作用も加わり受け入れやすい香りになります」

「柑橘系の精油の中でも、ベルガモットは独特な存在です。というのも、ベルガモットには酢酸リナリルというラベンダーなどにも含まれる穏やかで優しい香りの成分が含まれているのです。酢酸リナリルは、ほかの柑橘系の精油には含まれていないため、その香りにはレモンやライム、オレンジといった、そのほかの柑橘系とは少し違った雰囲気があります。全体としては、柑橘系のメイン成分である d-リモネンを最も多く含んでいるのはもちろんなのですが、酢酸リナリルと、やはりこれもラベンダーにも含まれているリナロールも含まれている点が特長的です。酢酸リナリルやリナロールの作用によって、柑橘系のリフレッシュ作用と同時に、優れたリラックス作用も発揮してくれます。緊張をゆるめてゆったりさせたい時のスイッチとして、不安を感じた時や不眠傾向の時などに、とても頼れる精油。また、冬場に冷えてなかなか寝つけない時には、温めのジュニパーベリーや、リンパの流れを良くするゼラニウムとのブレンドがおすすめです」

Grapefruit

体も心も軽やかに整えたい、女性にとって頼もしい存在

学名:Citrus paradisi
科名:ミカン科
和名:グレープフルーツ
主な産地:北アメリカ(カリフォルニアやフロリダ)、イスラエル、フランス、ブラジルなど

 学名の意味は、楽園のシトラス。グレープフルーツは、スイートオレンジに日本の柑橘でいうと文旦のような、皮の厚いポメロという柑橘をかけあわせたもの。「グレープフルーツという名前は、果実がぶどうの房のようになることからついたといわれています。成分の約 90% は d−リモネンが占めていますが、ヌートカンという、ピリッとビター感のある香り成分が含まれています。さらに、皮の白い部分にはナリンギンという苦味成分を含んでいます。このナリンギンには食欲を抑える効果があり、ヌートカンによる作用とともに、グレープフルーツは代謝を高めてダイエットをサポートしてくれる果実として人気を博すようになりました。グレープフルーツにはホワイトとルビーの2タイプがありますが、赤みが強くなるほど味も香りも甘くなる傾向があります。精油には、交感神経系が優位な興奮状態にある時にバランスを取ってくれるような働きや、殺菌や消毒作用にも優れています。メディテーションにも使える香りですし、風邪の時などは同じく殺菌効果の高いティートリーやパルマローザなどと一緒にティッシュに垂らして吸入するのもおすすめです」

Black pepper

呼吸を深めるような香り立ちと、世界中の人々を魅了した効能

学名:Piper nigrum
科名:コショウ科
和名:コショウ
主な産地:インド、インドネシアなど

「かつてコロンブスやヴァスコ・ダ・ガマが大航海に出たのは、このコショウの実を自国に欲しかったというのも理由の一つでした。それまでペッパーは、シルクロードを通じてアラビアの商人が牛耳っている希少品だったので、一粒のブラックペッパーが3年ほどかけてイタリアのベニスにたどり着く頃には 100 倍くらいの値段になっていたのです。その頃の人たちにしてみると、ペッパーはまさに宝石のような存在。ひと振りで食べ物が美味しくなり、当時としてはパーフェクトに近い防腐作用も。料理に使うスパイスとしてのペッパーを思い浮かべると、精油も香りが刺激的なのでは?と思われがちですが、精油の香りはそこまで強くなく、甘くスパイシーな香りです。ペッパーには収穫のタイミングや製法の違いから、ブラックペッパー、レッドペッパー、ホワイトペッパーなどがあります。調香の仕上げにブラックペッパーを一滴プラスするだけで、ふわっと花の香りが引き立ちます。また、体を温める働きも優れているので、秋から冬、マッサージオイルをブレンドしてセルフトリートメントをする際などにはやはり1滴プラスしてあげると加温作用を高めてくれます」

Coriander

食の世界の “パクチー” とはまた違った魅力あふれる香り

学名:Coriandrum sativum
科名:セリ科
和名:コスイ、コニシ,コエンドロ
主な産地:インド、モロッコ、ハンガリーほか、世界各地

 日本では東南アジアと同じパクチーという呼び名が浸透、中国では香菜(シャンツァイ)といった呼ばれ方をされているコリアンダー。日本では、ポルガトル語に由来しているコエンドロとも呼ばれている。
「世界でも一番といっていいほどよく使われているハーブです。コリアンダーという名前は、ギリシャ語のコリス(南京虫)が語源といわれ、コリアンダーの葉については南京虫のような独特な香りがするため、好き嫌いがはっきりと分かれがちです。しかしコリアンダーの実(コリアンダーシードと呼ばれてはいますが種子ではなく果実)から抽出される精油はクセが少なく、ほのかに甘みのある華やかな香りです。古代エジプトのピラミッド、ツタンカーメンのお墓からも半カップほどのコリアンダーの実が出てきたそうで、さらにそれ以前、バビロンの空中庭園でもコリアンダーが栽培されていたのではないかといわれています」

コリアンダーはセリ科の植物。同じセリ科には、フェンネルやキャラウェイなどがあり、フェンネルシードやキャラウェイシードも、植物学上では果実の分類。「セリ科のものには、去痰作用といって呼吸器系の働きをスムーズにしてくれる働きがあります。また、コリアンダーは化粧品への利用も比較的早く、17 世紀にフランスにあるカルメル会修道院の修道女たちがメリッサやコリアンダーシードやナツメグなどを用いて作った化粧水 “カルメ水” は、肌荒れや日焼けなどのケアに良いということで一世を風靡したそうです」

「コリアンダーの実は、昔は膨満感の解消など消化器系に良いとされる薬だったことも、世界に広まった背景のひとつと思われます。ローズマリーなどと同じで防腐作用が高く、また中世の頃には、懐妊を望む女性が左足の太ももに巻きつけるといった、おまじない的な使われ方をしていたという記録も。コリアンダーの実は料理だと代表的なのはカレーに、リキュールの原料としても用いられています。調香ではさまざまな花の精油と相性が良いので、隠し味的に使われることも多いです。コリアンダーの精油には、神経系を強壮し、気持ちを明るくしてれくれる働きがあります。体を温めたい時はマッサージオイルにブレンドして使ったり、便秘や食欲不振、無気力感に見舞われた時などにもおすすめです」

Teaching from…

鎮西 美枝子先生(ニールズヤード レメディーズ)
ホリスティックスクール ニールズヤード レメディーズ講師、AEAJ 認定アロマセラピスト、AEAJ認定アロマセラピーインストラクター、JAMHA 認定ハーバルセラピスト、JAMHA 認定ハーバルプラクティショナー。JAMHA 認定日本のハーブセラピスト。アロマセラピーの歴史についての造詣の深さはもちろん、精油を用いた調香にも詳しい。

ホリスティックスクール ニールズヤード レメディーズ
アロマセラピースクールの先駆として、1996 年に開設。精油やハーブを用いた自然療法を本格的に学ぶ講座や、人気の「はじめてのアロマ香水」をはじめ、実践しながら楽しく学べる各種の1Day 講座など、充実した内容が魅力。現在は表参道校・大阪校があり、アロマセラピーの基礎を学べるベーシッククラスは両校にて毎月開講中。表参道校では今年9月より待望の夜クラスもスタート。アロマテラピー検定1、2級に対応しているので資格試験を目指す人にもおすすめ。

Edit SATORU SUZUKI
Text KUMIKO ISHIZUKA

こちらの情報は『CYAN ISSUE 023』に掲載されたものを再編集したものです。

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