“着飾る美しさではなく、そのものの美しさ” を表現した いぶし銀のような魅力を持つ制服が誕生。

どこまでも前向きで、人生を楽しむ女性たちを応援する敏感肌専門ブランド “DECENCIA(ディセンシア)”。初となる直営店は『博物学 × ラボラトリー』をキーワードに、肌の専門家としてお客様に寄り添うため、BC(ビューティカウンセラー)が纏う制服にも一切手抜かりがない。デザイナーには、自身のファッションブランド『__TOMOUMI ONO』をもつ小野智海さんを起用し、ディセンシアブランド独自の世界観を制服で体現。ディセンシアの最高峰シリーズ『ディセンシー』のパッケージカラーである淡いグレーをキーカラーに、『majotae(まよたえ)』という大麻布を使用。コンフォートヘンプ・『majotae』の持つ素材の表情を生かして練り上げられたデザインは、袖を通す人の動きを美しく魅せる秀逸な仕上がりだ。

ロングコートのサイドには、動きやすく活動的な深いスリットを。“着る人のための制服でもある” というデザイナー小野智海さんの思いが込められている。

ブランドロゴから想起した斜めのラインを、2パターンある制服の、どちらの左襟にもタックとして施し、ディテールからもアイデンティティを表現。

生地には、大麻布『majotae』を起用。日本古来の伝統的なマテリアルであり、速乾性、耐久性、保湿性を備えている。洗うほどに柔らかくなるのも特徴。
オリジナルに着こなせる2タイプの制服を作成
一人一人の肌が違うように、制服にも多様性を取り入れ、ワンピースとコートの2タイプを作成。BC が自分らしい着こなしや美しさを表現することで、“美しさの正解はひとつではない” という、ディセンシアから女性たちへのメッセージの意も。
コートタイプ:SCIENCE × BEAUTY

ブランドの持つ「SCIENCE」のイメージ。サイエンスを連想させるコートジャケットは、体の動きに合わせて動く深いスリットや、ゆるやかなシルエットで凛とした佇まいを感じる仕上がりに。
ワンピースタイプ:HOSPITALTY × BEAUTY

人と人のつながりが生む温かみを表現する「HOSPITALITY」をイメージ。コートタイプの持つゆるやかさを残しつつ、襟元のタックで、大麻布の表情を豊かに魅せる陰影を作っている。
Way to Completion
ブランドアイデンティティの共有が鍵
9月に実店舗をオープンしたディセンシアが、デザイナーの小野智海さんに依頼をしたのは今年の4月のこと。それから納品までは約5ヶ月後だった。小野さんとは、ブランドや新店舗のコンセプト、デザインの方向性を共有するために打ち合わせを重ね、5月には生地の選定と制服の仕様に関する擦り合わせが行われた。6月に入ると、大量のデザインスケッチからイメージを膨らませていき、デザイン選定の過程で、モデルを使ってピンワークをする “トアル” を3回実施している。これによって、より立体的なデザインに落とし込んでいく。7月には、実際の BC に着用してもらい、制服の仕様を高めていったという。

決して長くはないスパンの中で、機能面も担保しながらデザインされているのは驚きだ。動きやすいスリットや、捲らずに済む袖の長さ以外に、ポケットの内側に備えられた『隠しペン挿し』など、着る人のことを一番に考えられたデザイン。また、独特なディセンシーグレーに染め上げた majotae の大麻布。限られた時間でもこれだけ調整できたのは、まさにそれぞれの職人魂と、製作に入る前のイメージ共有に無駄がなかったからだと言える。

Voices of developers
開発に大きく関わった三方から話を伺うと、一様に、互いに対して尊敬の意を持っていることが伝わってきた。相手を深く理解し取り組んでいたからこそ素晴らしい制服が生まれたのだ。
DESIGN

小野 智海
1977 年生まれ。大学を卒業後に渡仏。2009年に自身のブランドを設立。
「着る人の着方や身体によって個性を形作ることを考え、実際の動きや仕草も考慮してバランスを取り、何度も微調整を重ねました。大麻布の持つ表情、着ることで生み出されるシワや襞は、個々の生の痕跡として独自の美しさを与えることでしょう」
FABRIC

majotae
大麻繊維の紡績を最新技術で蘇らせた、現代ならではの大麻布ブランド。(事業担当 山嵜)
「麻素材特有のシワを素材の個性とし、動きやすさも考慮されたデザインを拝見した際に、麻世妙の役割が明確になりました。この素材が持つ気持ち良さを理解してくださった方々と新しい美の感覚を一緒に形にできたことは、大変有意義でした」
PHILOSOPHY

沢野 由衣
株式会社 DECENCIA ブランド戦略部 百貨店グループ。
「すばらしいデザインと生地により、準備が整ったと感じています。個性が生きる装いであること、また、大麻布が生む『心地よさ』は着用する BC だけでなく、お客さまにも伝播し、共有する時間と場が心地よいものになることを願っております」
Photography YUYA SHIMAHARA
Model RYOKO AOKI
Edit SATORU SUZUKI
Text ARISA SATO
こちらの情報は『CYAN ISSUE 023』に掲載されたものを再編集したものです。