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ブランドの始まり

 アヴェダは、1978年にアメリカ合衆国のミネソタ州で創業された。創設者は当時カリスマ的な人気を誇っていた美容師、ホースト・レッケルバッカー。ホーストは、ウェルネス的な概念を通じて、より本質的でホリスティックな美を生み出したいと考えていた。創業当時より“環境保全とビジネスの両立”を掲げ、現在に至るまでビューティの世界のみならずあらゆるパートにおいて環境保全の規範となるブランドを目指すことをミッションとしている。

Horst Rechelbacher

ブランド創設者 ホースト・レッケルバッカー

 ホーストは、ハーバリストの母と靴職人の父のもと、1941年にオーストラリアで誕生した。14歳から近所のヘアサロンで働き始め、すぐに才能が認められると、17歳になる頃にはローマの高級ヘアサロンにスタイリストとして採用される。やがて世界中のセレブリティをクライアントに持つようになり、弱冠20歳でヨーロピアン ヘアスタイリング チャンピオンシップに優勝。それをきっかけに全欧・全米ツアーに出るようになる。ホーストは当時“天職とは何か”と問われ、「自分の中で燃え続ける炎のように、自分を生かし続けるものです」と語った。

ホースト・レッケルバッカー

アーユルヴェーダとの出会い

 若くして世界的なスタイリストとなったホーストだったが、1963年にスタイリストコンテストに参加するために訪れていたミネソタ州ミネアポリスで思わぬ事故に巻き込まれてしまう。予期せぬ運命の流れによってミネアポリスに留まり療養することになったホーネスは、そのまま移住することを決意。「ホースト&フレンズ」という自身のサロンを立ち上げ、サロン経営者としての成功を手にした。

 そんなホーストに次の転機が訪れたのは、1960年代後半。多忙を極め体調を崩してしまうが、ハーバリストであった母親によるハーブ療法のほか、ヨガや瞑想を行うことで回復を遂げたのだ。そして1970年、療養のために訪れたインドでアーユルヴェーダと出会う。その思想に感銘を受けたホーストは、自身の生活だけでなくサロンにもアーユルヴェーダの教えを取り入れ始めた。ゲストの美について考える前提条件として、心身を整えることの大切さを深く実感したのだ。そして遂に、インドのリシュケシュにあるサーダナ・マンディールというアシュラム(僧院)で出会ったシヴナ・タンドンとアーユルヴェーダ医学の権威であるウパディエ夫妻とともにアヴェダ最初の商品となるクローブシャンプーを開発するに至った。

ウパディエ夫妻。アーユルヴェーダ医学・薬理学・植物学・アロマテラピーに関して高い知見を有し、世界中から協力要請を受けている。数千年に及ぶアーユルヴェーダの伝統をアヴェダ製品に注ぎ込んだ。
アーユルヴェーダをヒントに開発されたピュアプラント クローブシャンプー。ナチュラル成分で作られたヘアカラーをキープするためのシャンプーだった。

永続的なヴィジョン

 このような様々な経験と思考のアップデートを繰り返しながら、1978年にアヴェダは誕生した。アヴェダというブランド名は、サンクリット語で“すべての智慧”を意味している。製品を使用するプロフェッショナルやゲストに役立つとともに、地球とそのコミュニティにも負荷をかけない製品を提供する、というヴィジョンを体現したものだ。「個」の美しさが謳われていた時代に、私たちを取り巻く世界「全体」の美しさについても思考を巡らせていたのである。このようなホリスティックな考え方は、当時の美容業界に革命をもたらすほどセンセーショナルなものだった。ホーストはこう語っている。「私たちは地球そのものです。その土壌であり、水なのです。ですから、可能な限りオーガニックな生き方をしましょう。そうやって、“生きること”を讃えるのです」

路面店オープン

 順調にファンを増やしていったアヴェダは、1989年に初の路面店をニューヨーク・マディソンアヴェニューにオープンした。その後もアヴェダは多くのプロフェッショナルに信頼され、現在は世界で9000ロケーションの独立型ショップやサロン、スパを展開している。

 美容院からスタートしたという背景もあり、アヴェダではヘアカラーを特に大切にしている。オリジナルのカラー剤は93%が植物由来の原料を使用しているが、ナチュラルな剤形であっても仕上がりはゴージャスで、ゲストの心をしっかりと満たすものだ。また、“ネック&ショルダー マッサージ”など、アヴェダサロンの特徴として知られている独自のリチュアルサービスを取ってみても、“全身から心まで完全にケアする”というブランドの強い意志を感じることができる。

過去の街頭広告

AROMA

アヴェダとアロマ

 アヴェダは生きとし生けるものすべてに自然界のエレメント“空・風・火・水・地”が存在するという考えに基づく古代インドの智慧、アーユルヴェーダに根ざしており、創立された1978年当時から、ピュアな花と植物に由来するアロマがすべての製品作りの核となっている。すべてのアヴェダ製品、リチュアル、サービスメニューに存在しているアヴェダのアロマブレンドは、実に奥深く独特なものだ。「天然のアロマは単に香りが美しいだけではありません。私たちに地球との繋がりを与えてくれるものです。豊かな智慧と奇跡で溢れている自然界の中で、グラウンディングをさせてくれる存在で、生命の光そのものを体現しているのです」(ガイ・ヴィセント / アヴェダ・ピュアフューム・アロマ総責任者)

 良い記憶・感情と関連のあるアロマには、励ましや元気付けの効果、また気持ちを落ち着かせる効果がある。そのためアヴェダでは、ゲスト1人ひとりに“アロマ センサリー ジャーニー”よ呼ばれる心地よいリチュアルを実施している。それはそれぞれの感覚に訴えかけ、必要なバランスを取り戻すためのアロマを選択できるようにデザインされており、サロンで過ごす時間の中で、可能な限り幸福感を高められるよう配慮がなされている。

アロマができるまで

 アヴェダのアロマはすべてが独自のもの。自社でアロマを作り出す世界でも数少ない企業のひとつだ。厳選された数百種類もの花と植物のエッセンスから、複雑でスペシャルなブレンドを自社ラボで生み出している。アヴェダでは、アロマテラピスト、薬理学者、ピュアフューマー(アロマ調香師)からなるチームがアロマ作りを担当。彼らはエッセンシャルオイルの伝統的な使用法だけでなく最新科学にも精通しており、どのエッセンシャルオイルを使用すれば人の感情に訴える最善のブレンドが仕上がるかを様々な角度から検証しているのだ。また、オーガニック農法と社会的責任へのこだわりに基づいて、エッセンシャルオイルを世界各地にある小さな農場やコミュニティから調達している。

Sustainable Development

サステナビリティと社会的責任

 アヴェダは創業当時から、高機能製品を作り出すだけでなく、ウェルネス、持続可能性、環境意識といった自社の基本理念を守ることに全力で取り組んでいる。自然から多くのインスピレーションを得ているアヴェダは、自然とは単に慈しみ守るだけのものでなく、時速可能性を確保する上で規範として見習うべきものであると考えているのだ。

 1989年にはセリーズ* 原則に賛同し、署名をした初の民間企業となった。またアヴェダでは現在、再生可能な風力発電の開発を支援しており、化粧品会社としては初めて風力発電のみの製品製造を行っている。パッケージに使用する素材についても必要最小限に抑えており、可能な限り使用済み再生素材やバイオプラスティックを採用。100%再生PETのジャーやボトルを容器に採用した初めての化粧品会社でもある。製品を使い切ったあとのことまで念頭に置いてパッケージデザインがなされ、素材がリサイクル、リユースされるような流れも生み出している。(*セリーズは気候変動や水不足など、持続可能性を脅かす問題に関する企業の取り組みを推進する非営利団体)

 ホーストなき現在も、環境保全という企業使命とその情熱は、ブランドのミッションだけにとどまらず、世界規模の大きなうねりとなってしっかりと引き継がれているのだ。

リサイクルのため回収された空容器

ブランドのこれから

 アヴェダの使命、それは製品作りから社会還元まですべてを通じて、命あふれる地球を大切に守り続けていくことだ。そしてホーストが残した最も大切な教えは、“人生をプラスにする機会は私たち1人ひとりに毎日訪れている”ということ。「何を食べ、何を着て、自分の身体や家にどんな製品を使うかといった、一見重要とは思えない日常の小さな選択さえ個人を超越した波及効果を持っている」と、ホーストは教えた。アヴェダはこれからも、命宿るものすべての美と調和を目指し、世界を導いてくれるはずだ。そして私たちがアヴェダを選ぶということ、それはひとつの意志表明となり、ひいては世界をケアすることに繋がっていくだろう。

2003年に日本に上陸したアヴェダ。青山にある旗艦店ではホーストの精神・ブランドの世界観を体現し続けている。

Text SHIHO TOKIZAWA

こちらの情報は『CYAN ISSUE 024』に掲載されたものを再編集したものです。

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