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ABOUT

 ヨモギやアニスに似た、甘く清涼感のある香り。根がとぐろを巻いた蛇に見えることや、その細い葉が牙のように見えることから、フランス語で「エストラゴン(小さな竜)」という意味を持つタラゴンは、日本ではあまり馴染みのないハーブかもしれません。17世紀頃のフランス料理の進化とともにその存在感を顕したハーブで、まっすぐに伸びる茎と細長い葉の、ヨモギと近縁のキク科の植物です。

 葉をかじってみると、ピリッとした辛味を感じます。これが鶏肉や海老、白身魚などやや淡白な素材と相性が良く、ヨーロッパでは卵やエスカルゴとの相性の良さでも知られています。さらに、バターやクリーム、酢といった調味料に深みをつけるハーブとしても知られ、穏やかだけれど食卓にしっかりと根づいている、まさに料理の “名脇役” 的存在なのです。

 その起源はシベリアと言われており、スペインを統治していたアラブ人がヨーロッパに広めたとされています。「タラゴン」と呼ばれるハーブにはより原種に近い「ロシアンタラゴン」や、キッチンハーブとして改良された「フレンチタラゴン」がありますが、料理に使われるのは基本的にフレンチタラゴンのことを指します。名前は似ていますが、殖え方や風味がまったく違う別の種なのだそうです。ドライにすると香りが飛んでしまうので、使うのは主にフレッシュな状態。酢との相性も良いので、ハーブビネガーを作って、ちらし寿司やサーモンの巻き寿司にしても美味しく、日本人の味覚にも意外とフィットする、使ってみるととても勝手の良いハーブです。

ヨーロッパの家庭では、ビネガーにタラゴンを漬けたものがポピュラー。漬けておいたタラゴンも刻んで、料理のアクセントに。

 タラゴン精油の主成分は「エストラゴール」。バジルやアニス、フェンネルにも含まれる成分で、主に香水や香料に用いられます。紀元前500年頃からギリシャで薬草として栽培されていた記録があり、昔から消化促進と女性特有の不調に良いとされ、女性の生殖器系の強壮に使われてきました。料理の側面だけでなくヨーロッパでは香水に使われることもしばしば。心を強くする働きがあるとも言われ、自分の中の女性らしさと男性っぽさの調和を図るためにその香りを焚いたとされています。

 タラゴン精油はマッサージにも用いられ、バジル精油と同じように痛みや筋肉の緊張を和らげるために使われてきました。ただ、比較的強いハーブであることでも知られ、妊娠・授乳中や幼児へは禁忌とされています。同じようにハーバルな香りのディルや、フローラルな香りならラベンダー、ウッディな香りならサイプレスなどのすっきりとして、清涼感のあると香りと合わせてブレンドされることも多く、体をゆるめて自分らしさを取り戻すために使われてきたようです。

ビネガーやクリームにひとクセ。フランス料理の名脇役

Tarragon / Estragon

 上記に紹介した「エストラゴール」のほか、タラゴンには「メチルオイゲノール」などの「フェノールエーテル類」に分類される成分が大半を占めています。これは肌に高い殺菌・消毒作用を持つと考えられており、そのため、ストレス肌のトラブル対策に良いハーブであるとされています。ただ、フェノール類は覚醒・刺激作用もあるため、その時の体質や状態によって合う・合わないがある場合も。穏やかに作用するブレンドオイルやコスメから使ってみるのも良いかもしれません。

タラゴンは、その爽やかな香りから香水はもちろん、タラゴンならではの清浄作用を感じるような役割でナチュラルなコスメにブレンドされていることも多い。(左から)かゆみや乾燥などの肌トラブル=肌のバリア機能の低下を防ぐことにフォーカスした、オーガニック成分高配合のスキンケアシリーズ。モイストリペア フォーミングボディソープ 370mL ¥1,900、モイストリペア アクアミルキーローション 200mL ¥2,000、モイストリペア アフターバスオイル 100mL ¥2,500、モイストリペア メディクリーム 15mL ¥1,600 / メイド オブ オーガニクス(すべてたかくら新産業)、ミントやサンダルウッドなど、ユニセックスに使えそうなコスメとして。ダーティ スタイリングクリーム 95g ¥1,470、ダーティ シャワージェル 280g ¥2,230(ラッシュ)

Photographer SUGURU KUMAKI
Edit & Text KAORU TATEISHI

こちらの情報は『CYAN ISSUE 025』に掲載されたものを再編集したものです。

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