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1989 -

Prologue プロローグ

SHIRO(シロ)のルーツは北海道にある。“本当に毎日使いたいものはどんなものだろう”という純粋な問いかけから、そのストーリーは始まった。

シロの母体である株式会社シロ(旧株式会社ローレル)は、1989年に北海道・砂川で創業した。当初はラベンダーのポプリやジャムなど土産物の製造をメインとしていたが、次第にライフスタイルブランドの入浴剤やハンドクリームなど、主に香りのついたコスメのオーダーも受注するようにシフト。OEMメーカーへと事業が発展すると、プロダクトのクオリティの高さが評判を呼び、その規模は徐々に拡大していった。

数年後には約133のブランドの製品作りを担うまでに成長。たくさんのヒット商品の誕生を、裏方としてサポートし続けた。しかしその反面、開発現場では“自分たちが本当に使いたいものはなんだろうか”という議論がなされるようになっていったという。他社の化粧品を数多く生み出していく中で、自社のブランドでしか実現することができない製品づくりに挑戦してみたいという気持ちが高まっていたのだ。そして2009年、ついに自社ブランド「LAUREL(ローレル)」が誕生。直営1号店も札幌にオープンし、OEMメーカーからブランドビジネスへと軸足が転換された。

ローレルの初期アイテム。フラスコ型のアイコニックなシャンプーやコールドソープなどが人気を呼んだ。

2009 -

Selected Ingredients こだわり抜かれた原料

 ローレルのものづくりの特徴は、“素材に妥協しない”、“素材をそのまま肌に届ける”点にあった。これは現在のシロのものづくりにもしっかりと引き継がれているブランドのDNAだ。例えば、当時日本では輸入されていなかったローレルオイル(月桂樹の実から絞られる貴重なオイル)をメインの素材に選ぶと、生産国のトルコまで出向いて直接仕入れ交渉。ローレルオイルの素材の良さをそのまま肌に届けるため、人気アイテムであった石鹸「LAURELコールドソープ 95%」には、その名の通りオイル分の95%にローレルオイルを配合した。そしてこの香りも付いてない至極シンプルな石鹸は、美肌効果の高さによって予想以上に大きな反響を呼んだ。これにより、素材をそのまま高濃度配合することのメリット、そして混じり気のないピュアなコスメを待ち望んでいる顧客が数多く存在していることを改めて実感できたという。

ローレルオイル生産者の女性。生産者とフェイスtoフェイスのやりとりを行い、安心安全の素材をできる限りそのままコスメに配合した。当時ローレルオイルシリーズと共に人気だったシアバターも、ガーナの女性たちが作る未精製のものをそのまま缶に詰めたものだった。

2012 -

sozai LAUREL 「ソザイローレル」デビュー

2012年になると、主に北海道の豊富で新鮮な資源を生かしたスキンケアライン「sozai LAUREL(ソザイローレル)」をスタートさせた。ブランドデビューからしばらくは海外生産者の原料を中心としてラインナップが構成されていたが、"日本人が日々口にしているものの方が肌にいいのではないか"と考え、身近(北海道)に存在する素材に再注目した形だ。

ソザイローレルで1番最初に製品化された「がごめ昆布」シリーズ。函館の深海のみで獲ることができる「がごめ昆布」は加工する際に根の部分が切り落とされていたが、この根に栄養が凝縮されていることに注目。漁師から直接届けられる昆布の根には砂利などが混ざっているため、自社工場において全て手作業で選別されている。

 ユニークなのは、加工の際に裁断される切れ端であったり、形が不恰好だったりと、通常では破棄されしまうパーツ等も積極的に採用した点だ。生産者がこだわって育てている素材には、隅々までたくさんの栄養分が含まれており、処分される部分にその恵みが凝縮されていることも少なくない。素材の魅力を最大限に生かすこと、かけがえのない自然のチカラを余すことなく享受すること、シロではこのポリシーを当時からずっと体現し続けており、現在もブランドのシグネチャーアイテムとして定番人気を誇る「がごめ昆布」や「酒かす」のシリーズは、この当時開発されたものである。

2015 -

Launch a New Brand シロ誕生

 2015年になると、ブランド名が「シロ(shiro)」へと変更された。それまでは社名である「ローレル」をそのままブランド名として使っていたが、海外展開を見据えた規模拡大に合わせ、新たな一歩が踏み出されたのだ。

 実はブランド名の由来は、ブランド創業者とその子息の名前にある。“自分の名前を背負い、世界に挑戦する”という大きな決意が込められている。

2016 -

Overseas Expansion 海外1号店

 2016年、イギリス・ロンドンのキングスロードに、海外1号店をオープン。きっかけは、ヨーロッパに足を運ぶ機会が多かったブランド創業者が、硬水による肌の乾燥に悩む女性の話をよく耳にしたことにある。素材の力を活用したシロのアイテムを、より多くの人に届けたいという純粋な気持ちが原動力だった。和食ブームにより日本の素材に興味を持っている人も多く、シロのアイテムもスムーズに受け入れられた。

2017 -

Cosmetic Series コスメティックコレクションをローンチ

 2017年、ついにコスメティックラインが登場。それまではスキンケアアイテムの開発に重点を置いていたが、働く女性などのニーズに応える形でメイクアップ製品にも力を入れ始めたのだ。それらはすべて“スキンケア発想”で作られており、メイクアップを楽しみながら、同時にトリートメントができる処方になっている。ファッション要素を取り入れ、パッケージにもこだわった。

 シロの製品開発の特徴のひとつに、マーケティングをしないことが挙げられる。統計を取ったり、トレンドを分析したりすることはなく、“今自分たちが欲しいものは何か”、そのフィーリングを大切にしている。シロのものづくりにとって、何が流行りかは大きな関心ごとではない。そのため、世の中に溢れる定番カラーやトレンドカラーがシロのコレクションには存在しないことも多い。このように一歩先をゆく研ぎ澄まされた美的感覚は、周りに同調することなく自分のスタイルを貫く今時の女性たちに、幅広く支持されていった。

人気の亜麻ネイルシリーズ。デビュー当時、定番カラーのピンクがライナップになかったことが話題に。スタイリッシュなカラーレンジで、アクセサリー感覚で楽しむことができる。

2019 -

shiroからSHIROへ

 2019年、ブランド10周年を迎えたシロは、大きな転機を迎えた。ブランド表記を小文字の「shiro」から「SHIRO」に変更し、そのヴィジュアルを一新したのである。少し華奢な印象だった小文字表記をどっしりとした大文字表記に変えた理由は、グローバル展開を進めていく中で、シロの持つ潜在的な力強さをさらに前面に押し出していきたかったからだ。クリームや白をメインカラーにしていたパッケージも、ネイビーをキーカラーとし、シャキッと引き締めた。一般的なラグジュアリーブランドが採用している黒を避けることで、カジュアルさや枠に捉われない自由な発想と柔軟性を表現したのである。当時大々的に行われたプレスプレビューでは、2025年までの海外における店舗展開の展望や、国内では最大33店舗まで拡大していくことなどが宣言された。

2021 -

SHIROの今とこれから

Efforts to Advance Sustainability サステナブルな取り組み

 大自然がもたらす素材と日々向き合っているシロでは、地球環境や社会のあり方、サステナビリティに配慮したエシカルな取り組みが数多く行われている。見た目などの問題から規格外になってしまった素材を製品に活かすのはもちろん、パッケージングにもエシカルな思考を採用。例えば「エシカル割」では、すぐに処分されてしまう紙箱をレスすることで通常価格の3%オフで購入することができる。

Fragrance Series シロのフレグランス

 シロを語る上で外せないもの、それがフレグランスだ。ブランド第1号アイテムは、実はフレグランスであり、デビュー当時から熱心なファンがついているほどその香りには定評がある。フレグランスの特徴は、“ちょうどいい香り”であること。ボディミルクがほんのり香っているかのような優しさを内包している。フレグランスに並び、個性を力強く表現できるSHIRO PERFUMEシリーズもある。

未来に向けた新たな取り組み

The Policies of SHIRO
Honesty    Good Quority
Originality   Safety

 自然のたくましさ、素材の持つパワフルな生命力を信じ、最大限に活用してきたシロは、今年6月、次なるミッションに向かって新たなスタートを切った。「みんなのすながわプロジェクト」と呼ばれるこの取り組みは、ブランド誕生の地である砂川市に大規模な工場、そしてアスレチックや放課後学校を作る計画だ。過疎化が進む町に雇用を生み出し、人々が集まる自然豊かな場所を整備することで、未来の子供達の感性を磨き、育むための環境を市民と共に創造するのだという。

 これから先、200年間続くブランドであること、そして輝く地球を守るための努力を重ねたいとするシロは、これからも化粧品を通じ、私たちをポジティブな未来へとリードし続けてくれるだろう。

Edit & Text  SHIHO TOKIZAWA

こちらの情報は『CYAN ISSUE 030』に掲載されたものを再編集したものです。

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