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ジュリークは化学・薬草学に造詣の深い学者夫妻、ユルゲン氏とウルリケ夫人によって創業された。二人はもともとドイツで暮らしていたが、より自然に溶け込んだスローな暮らしと、品質の良い化粧品を生産するためのナチュラルな環境を求め、1983年にオーストラリアに移住。“世界で最もピュアな土壌”を探し続け、遂に辿りついたのが南オーストラリアのアデレードヒルズだったという。そこは、寒暖の差が激しく、空気も乾燥した過酷な地であったが、そのなかで育つ生命力に溢れた植物たちの力強い姿に夫妻は胸を打たれた。ここに自社農園を開拓し、1985年に“ジュリーク”は誕生した。このブランド名は、夫妻それぞれの名前「Jurgen(ユルゲン)」と「Ulrike(ウルリケ)」をミックスし、命名されたものである。

移住後、自ら様々なハーブや花々を育て、化粧品開発の研究を続けた夫妻であったが、当初は近所に住む知り合いに販売する程度の規模だった。しかし、愛情を込めて育てた植物の恵みを活かした彼らの化粧品は瞬く間に評判を呼び、アデレードに第1号店をオープンすることになった。1997年には東京・青山に日本1号店がオープン。世界中で愛されるブランドへと成長した。

創業当時、毎日の農作業によって酷く荒れていたウルリケ夫人の手を見たユルゲン氏が、彼女の手荒れを何とか改善してあげたいと、植物やハーブのエキスを独自ブレンドしてナチュラルローズのハンドクリームを開発した(このハンドクリームは、今もロングセラーの商品として人気を博している)。このようなエピソードからも、彼らの作る化粧品は開発の根底に愛があり、スタート当初から植物と人への尊敬と感謝の意を持って作られていたことが分かるだろう。

この姿勢は現在に至るまで変わらずに引き継がれており、原料となる植物はオーガニック認証の自社農園で育てられ、手作業で収穫されている。それらの植物と、世界中から厳選された自然由来成分を独自製法で配合することによって作られているジュリークの製品は、自然を贅沢に極めたこだわりと愛情がたっぷりと込められているのだ。
 

「私たちの夢は、人々と自然をつなぐ架け橋になり、 本物の自然が持つ価値を分かち合うこと。 自然とのつながりは、私たちが私たちらしく生きるために、欠かせないものなのです (ウルリケ クライン)」

ジュリークが1985年のブランド創業当時から守り続けているのが“バイオダイナミック無農薬有機農法”だ。これは自然のサイクルをそのまま取り入れることで、すべてを自然から生み出し、そしてまたすべてを自然に還元する……という、究極とも言える循環型オーガニック農法である。最低半年以上の時間をかけ、大地の栄養分を引き出すことで出来上がる特別な土壌に、品種改良されていない原種をまき、植物を栽培。それらすべては、無農薬で育てられている。そして収穫は、それぞれの植物が最も香り高く生命力のある時期に合わせて、ひとつひとつ手摘みで行われる。

収穫された植物は、ハーブや花々の個性や魅力を活かし、引き出すことにより出来上がる、ジュリークオリジナルの配合レシピ“バイオダイナミックブレンド”により調合される。そしてそのブレンドは、“バイオイントリンジック製法”と呼ばれる独自の製法を用いて、数々の化粧品となっていく。このような徹底されたこだわりが、高品質で信頼できる化粧品を生み出すことを可能にしているのだ。

この世の中には、宝飾品のように、付け足すことで満たされる美しさもあるが、ジュリークは、もうひとつの真なるラグジュアリーが“そこにもともとある”ことを知っている。それは、大地の持つラグジュアリーだ。それこそが、彼らの考える美の真価だと言えるだろう。オーガニックコスメのパイオニア的存在として、創業から32年間変わらず、ジュリークはひたむきに自然と向き合い、地球環境を守りながら植物のパワーを人々に届け、毎日の麗しい生活をサポートしてきた。もしかするとジュリークの取り組みは、私たちが本来あるべき真実の姿を映し出しているのかもしれない。そして彼らの指し示す道の先にはきっと、今よりも自分らしく光り輝いた、ラグジュアリーで美しい未来が待っているに違いない。

Edit & Text SHIHO TOKIZAWA

こちらの情報は『CYAN ISSUE 015』に掲載されたものを再編集したものです。

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