Ampersands
アンパサンズ


『CYAN』のアートディレクションを担当しているデザイン事務所。雑誌やファッションカタログ等のエディトリアルデザインから、各種ツールやCI・VI等のグラフィック、Web、電子書籍のデザイン等多数。デザイナーならではの視点で更新します!



このブログのトップページへ




企画について…5 投稿日 2014年6月6日


 

企画の繋がりから生まれるもの

 

個々の企画はそれぞれに演出されたトーンを持ちます。それはビジュアルのイメージであったり、またはテキストのトーンであったり、もしくはデザインの見せ方であったりと、一様ではありません。その差異を、隣り合わせで繋いでいくダイナミズムに雑誌の面白さがあり、そこに雑誌という単語を象徴するプロセスがあると思いますので、これを最後に企画という切り口を閉めたいと思います。

たぶん、おおよその人は耳にされたことがあるとは思いますが、雑誌には“編集”という職能が必要不可欠であり、その作業に従事する出版社にお勤めの方々(またはフリーランスで活躍されている方)が、雑誌を作り上げています。(もちろん書籍や週刊誌など出版全般に言えることですので、様々な編集業が存在します)

その中で『CYAN』について言えば、大きく分けて2つの編集作業があります。話の都合上少し乱暴に区切ってしまいますが、1つは今までお話ししてきた、企画を編集する作業。そしてもう1つは、出来上がったそれぞれの企画(ページ)をまとめて雑誌にする為の編集作業です。文章にすると中々イメージが付き難いかもしれませんが、要は映画をカメラで撮る作業が前者、撮ったフィルムを繋げる作業が後者といった具合です。(少々強引ですが)

ここまで書いておいて何を今更当たり前な…という気もしなくはないのですが、ここで雑誌をよくも悪くも出来るという点と、それゆえの面白みという所もあるので、多少の駄文も交えて追っていければと思います。

基本的に雑誌の最終的な権限は編集長にあり、各々の企画をまとめて繋いでいく作業も編集長が行います。そうではない媒体もあるのかもしれませんが、基本的にはそのように考えていいと思います。ゆえに雑誌は編集長の意向によって決定され、批判も称賛も全てがここに集約されます。(志と責任感のある行いですね!)

ただ『CYAN』においては、ページを繋いでいく大事な作業も一緒に行っており(oh boy…)、編集長を交えて色んな視点からページの流れを作っていきます。「この企画は最初の方に…」「ならこれはここで繋いでみて…」「ここの間に何を挟みましょう…」などと話し合いながら、床一面に出力紙を並べてページを構成していきます。流れが決まった時の並びを見るのは壮観です。

面白くて楽しい作業である反面、ページの繋がりによっては不可解なマジックが起こり、全く面白くない(ように見える)雑誌になってしまう可能性も否めませんが、逆にそこまで面白くない繋がりでもかなり面白い(ように見える)雑誌に出来るチャンスでもあります。

個人的に雑誌は、書籍のように教養を身につけるというよりも、多様にカテゴライズされたコンテンツ同士の繋がりから、よりパーソナルにパラフレーズ(置き換え)された可能性を見出すメディアであればいいのではないかと思っています。IT関連の書籍はビジネスにおいて有用ですが、読了後に別のことが閃くようなことは(あるとは思いますが…)そこまで無いのではないかな、と思います。むしろカルチャー雑誌を読み終わった後に「起業するアイデアを思いついた…!」とか閃いちゃうのが雑誌の楽しいところなんじゃないかと思ってたりします。起業…じゃなくてもいいんですが、まぁ例えとしてね。

そのようにある種「エンターテイン」させる為には、ページ同士の繋がりが書籍のように順列が良すぎると生まれ難いものなのです。かなり前に、自分の作品についてとある映画監督さんがインタビューで、「(フィルムを)そのまま繋いでみたが映画として相当弱く見えたので、話の流れをバラバラに見せるよう再度編集した」というようなことを話している記事を読んだのですが、何となく同じことが言えるのではないかな、と思います。そのままではダイナミズムが生まれなかったのでしょう。雑誌には映画や音楽のように「時間」という制約がない(文字や写真が勝手に進まない)ので同じではないのですが、1つ1つのシーケンスのリズムをコントロールするという点では似ているのかなと思います。

面白い雑誌には内容はもちろん、そのような作為によって生じる独特のリズムがあります。ビューティとライフスタイルを掲げる『CYAN』ですが、ページとページの繋がりをどのように受け止めるかは読み手の自由ですし、ある意味そういった自由度の高い解釈が出来るようなリズムのある雑誌に出来ていればと思います。

blog_text_vol_6_gazou



カテゴリ : 企画
タグ : アートディレクション

コメントを送る




コメントを残す