変わらず思い続けた メイクアップアーティストの夢
花田さんは、小学校低学年から美容に興味を持ち、その頃から夢は一貫して“メイクアップアーティストになること” だったという。
「6つ上の姉がいたのでファッションやメイクなど、オシャレ をすることに関しては何かと姉から吸収することが多かったと思います。また、祖母は和裁や洋裁のお仕事をしていて、 母は家庭科の教員だったこともあって、物心ついた頃には自分でバッグや帽子を作っていたんです。なので自分の中でオシャレに対するこだわりも強くて、ヘアセットに毎日 1 時間かけたり、着たい洋服を自分で選んだり、母の化粧品でこっそりメイクを楽しんでいるような子供でした。中でもメイクへの関心は強く、メイクアップアーティストへの憧れは、中高生になっても変わることはありませんでした」。
リバーテーブルと観葉植物

夢を着実に叶えるため、高校卒業後は故郷の高知を離れ、福岡にある大村美容ファッション専門学校へ入学。ヘアメイクの基礎を学び、就職活動の時期を迎えた時、カラーリストの資格取得が次の目標となった。
「すぐにアーティストのアシスタントに就くことも考えました。ですが、まずはメイクに活かせそうなカラーリストの資格を取ろうと思い、そのカリキュラムがある美容室に就職したん です。しかし、入社して早々にその美容室でのカラーリスト資格のカリキュラム内容が変更になってしまって。このままここで続けていてもメイクアップアーティストへの道が遠退いてしまうと思い、すぐに退社を決意しました」。
クリームファンデーション

一時は目の前が真っ暗になってしまったと話す花田さんを救ったのは、紛れもなくSUQQUとの出会いだった。新たな光が差し込むように、雑誌に掲載されていたSUQQUの特集ページが目に留まった。
「ブランドの存在は専門学生時代から知っていましたし、当時は学内でもブームになっていて、私自身も気に入って SUQQU のアイテムを使っていました。美容室を退職してたまたま読んだ雑誌で、『年齢と共に美しさを重ねていけるブランド』という紹介文に改めて心を奪われ、その勢いで美容部員の求人を検索したんです。未経験者も歓迎だと書かれていたので思い切って応募し、神戸大丸店への就職が決まったことが SUQQU に携わるスタートとなりました」。
クリームで顔筋マッサージ

惚れ込んだブラントでの ゴールと新たなスタート
美容部員としてお客様へメイクアップをする喜びを感じていた花田さんは、店舗移動も含めて 3 ~ 4 年ほど働いていた。 しかし、心のどこかで小学生から抱いていたアーティストへの夢を諦めきれず、再びチャレンジするべく思いを巡らせていたんだとか。
「実は、美容部員を辞めて、当時憧れていたアーティストのアシスタントになりたいと考えたこともありました。履歴書を準 備して、あとは投函するだけだと思っていた時、当時の顧客様 のお顔が浮かび、“ もう会えなくなるのは嫌だ ” とアシスタントへの応募に踏み切れませんでした。やっぱり商品をお客様に気 に入っていただける瞬間がすごく嬉しかったので、SUQQU が 作ってくれた縁や環境に恩返しをしていきたいと思い直し、居 続けることを決心しました。そんな時に当時の店長に、SUQQU のアーティスト試験を勧められ、背中を押してもらいました。 美容部員時代もメイクは大好きでしたが、とにかく自分に自信 がなくて絶対に受からないだろうと思っていたので、店長以外 の誰にも言わずにひっそりと試験を受けたんです。店長の後押 しがなければ今の自分はなかったと思っています」。
目黒ケイさんのデッサン

狭き門を突破し、2016年に見事、ブランド最年少で SUQQU のアーティストに就任。夢を叶えた花田さんは、ここからまた新たなスタートラインに立った。
「昔からの夢だった“アーティストになること”がゴールだと思っていましたが、いざ成し遂げると、ここからがスタートだったんだと感じています。アーティストとして SUQQU と いうブランドを広めていく責任感が生まれましたし、メイクアップを施した後の変化に喜んでもらえた瞬間は何年経っても嬉しいです。これまでは接客をメインに活動していました が、ブランドとしてInstagramで新たに立ち上げた『@suqqucircle』(SUQQU 公式アカウントとは別に、 ブランドが運営するファンコミュニティアカウント )では、インスタライブのメイク動画も担当しています。その矢先のコロナ禍だったので、タッチアップはできなくても画面を通して商品の良さを伝えられるように取り組めていることもやりがいの 1 つです。私は入社してからさらに SUQQU に惚れ込み、何年経っても飽きることなく、 良い意味で慣れない使用感に感動しています。年齢をカバーしたり、若々しく見せたいと思ってメイクをするのではなく、 年齢を重ねたその人の良さを最大限に引き出してくれる SUQQU の魅力をこれからも伝えていきたいと思います」。
Photography : MIE NISHIGORI
Edit&Text : ARISA SATO
こちらの情報は『CYAN ISSUE 031』に掲載されたものを再編集したものです。