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杉野遥亮をナビゲーターに、春はアートに触れる旅に出よう

2021年末。CYAN編集部は、ドラマの撮影を終え、ようやくひと息つけるといった様子の杉野遥亮さんをスタジオに迎え入れた。朝早い集合と2021年を駆け抜けた彼は、はじめこそ少々疲れ気味に思えたが、春の装いに着替えてカメラの前に立つとその表情は生き生きと目覚めていくようだった。

今日は“春とアート”をテーマにした撮影を組んでみました。はじめてのCYANの撮影はいかがでしたか?

「少しフェミニンだったり、女性っぽい要素があるスタイリングで新しい自分だったなと思います。柔らかい色の服は、自分の気持ちも安らぎます。周りに与える影響、印象もいいのかなとも考えると、今年の春は柔らかいベージュやオフホワイトとかの服を選びたいです」

春に向けて、何か欲しいものはありますか?

「ドラマの撮影が終わって、また違うステージに行く気分なので、切り替えのためにも良い靴に何足か出会えたらいいなと思っています」

おしゃれすることは好き?

「好きです。仕事で、自分が普段選ばないものを着たりするときも、そこに合わせて表現することに楽しさを感じたり、服を着ることで自分の中から生まれてくるものを楽しんだりもしています。僕自身としては、コロナが流行する以前は選ぶ服もごちゃごちゃしていたんですけれど、この期間を経て選ぶものが変わりました。落ち着くもの、楽になれるものを残しておくようになりました。例えばシャツ1枚だったり、デニム1本だったり、そういったシンプルな格好が好ましいです。“良いモノ”を持っていたい」

杉野さんの“良いモノ”の基準とは?

「うーん、基準はないです。感覚です。一目見て、ああ優しいな、とか、ホッとする、ワクワクする、とか。ブランドの力を借りることもあるし、純粋にシルエットがめっちゃ好きだなと思ったらそれもお気に入りになるし。自分がワクワクするかどうか」

直感的にモノを選んでいくタイプですね。

「本当にそのタイプです。感覚とか、直感で生きています」

美容で気をつけていることなどはありますか?

「化粧水と乳液でスキンケアをはじめました。撮影中に内面が乱れたり、ストレスを感じたりすると肌にあらわれるようになったので、自分を安心させるためにスキンケアをするようにしました。やらないとダメ、スキンケア命!って感じではないですが、気持ちに寄り添うためにしています。何もやらないよりは、やった方が心が落ち着くことがある」

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ドラマに映画にと活躍が光る2021年、きっとご多忙でしたよね。そして今年は、渋谷のBunkamura ザ・ミュージアムにて開催される展覧会『ミロ展−日本を夢みて』のナビゲーターと音声ガイドを務めるとのこと。

「僕、スペインに番組の企画で少しだけ住んでいたことがあり、ミロの出身地でもあるバルセロナがとても好きだったんです。ナビゲーターというお仕事を通して、僕自身がミロやミロの作品をどう観たり、どういう魅力を感じるかということに興味があり、お引き受けすることにしました」

ミロの作品に触れてみていかがでしたか?

「自分がミロの魅力を伝えられる機会があってよかったと思えるものがそこにありました。ミロの思想だったり、こういうことがあってこの作品を描いたのかな、こういう流れで作品が生まれたのかも、と想像していました。自分で点と点をつなげていく感覚がとても新鮮で、それを味わえたことがよかったです」

今回の展覧会では、ミロと日本の密接な関係性についても知ることができるそうですね。もし現代にミロが生きていたとしたら、杉野さんはミロをどこに連れて行ったり、どんな体験を一緒にしてみたいですか?

「こちらから何かしてあげるというのもおこがましいですけどね。今の日本って欧米の文化が流れてきて、当時ミロが敬愛していた日本の文化は消えつつあるのかもしれない。残っている古き良きものについて自分も知らないもの、見たことがないものが多いので、一緒にどこか行けたらいいですね。神社巡りをしたりして、改めて一緒に知っていきたいな」

日本人のわたしたちも、じっくりと日本の文化に触れる機会って少ないですよね。

「ないですね。僕なんかは、小さい頃からそういう体験がほとんどなかったんですけど、ここ最近は神社巡りが好きになって。そういう経緯もあって、改めて素敵な国だなと思う機会が増えました」

ミロ展は海外の芸術家の作品に触れる機会でありながら、日本のことも改めてよく知ることができる良い機会だなと思っています。

「本当にその通りです。日本の文化ももう一度見つめ直して、貴重さ、大切さを再確認する機会になるかもしれないです。ミロ展の楽しみ方のひとつとして、ミロの年齢やこういう時期にこういう作品を描いていたとか、そういうことを知っていくのも楽しい。ひとつの作品について深く意味を考えることはもちろん、複数の作品の流れを追うのも楽しいのかなと。初期はとても忠実にモノを描いていたけれど、どんどん心が解放されていくような作風に変わっていっているなとか」

ひとりの画家の人生を深く追っていけるのは、このような展示ならではですよね。そのストーリーが杉野さんの声で聞けるのが楽しみです!ミロ展はどんな方に楽しんでいただきたいですか?

「(即答で)どんな方にもですよ。みんなに楽しんでもらいたい展覧会です。今この時代に、本物の芸術家が表現するもの、発信するものというのはとても支えになると思う。自分自身も今回絵画に触れて、表現から自分を見つめ直したりしています。今このインタビューを読んでくださっている方全員にそのチャンスはあると思うので、一緒に体験してみませんかと伝えたいです」

杉野さんご自身は、何か制作したりすることはありますか?

「ないですね。でも話す言葉は自分のものだと思っています。俳優という職業も、こうやって取材などで話す内容やTwitterの文章ひとつとっても、表現として自分から生み出そうとはしています」

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演技という出力方法の糧になっているのは?

「人が好きだからかな。僕、映画やドラマをあんまり観ないんです。だから台本を読んで、日頃の生活の中でいろいろな人々を見て得た、“彼らはこう考えているのかも”というたくさんのストックを、自分というフィルターや身体を通して表現している。クリエイトするのは楽しいです。この仕事、つらいこともあるから、楽しくないとやれないですよ。僕が大切にしていることはプライベートを充実させることで、仕事がすべてではないとは思っているけど、毎回“自分”を生み出せるこの仕事が今はいちばん楽しい」

プライベートはどんなことをしているんですか?

「プライベートが大事なんだけど、今はこの仕事をする上でとってもエネルギーを使う時期や年齢だから、どちらかというと仕事ばかりになっちゃってます(笑)エネルギーを放出するために、プライベートはぼーっとするというか。自分に戻って落ち着くためだけの時間になっているかもしれない。もう少し大人になった時、心や視野に余裕を持てたら。その時には個人的にやってみたいことに時間を費やしたい。今(撮影時2021年12月)は、ドラマの撮影が終わって少し落ち着いたところ。限界まで気を張って頑張っていたところがあって、僕ってこんなに疲れていたんだとやっと気づいた状態です。休むことって大事なんだなと実感しています」

本当に多忙な日々が続いていたのですね。

「多忙というか、いろんなことにすごく真剣に向き合っていたんだと思います。自分の性格上、何かに妥協したり、理由がわからないままにできない。ちゃんと自分で納得しないとできないし、感情的になったりすることもある激しい性格。目の前のことに一生懸命になってしまう。ギアを切っても切れないというか、目の前にある問題を解決することに突き進んでいた。だからこそまた再スタートが切れるように、さっきも話したように何か新しいものを買ったりして、スイッチを切り替える時間も大事かな」

ギア調整ですね。

「そうですね、ギア調整をしようかな」

忙しい日々、妄想にはなってしまうかもですが……春にどこか出かけたいところは?

「そうですねえ、何ができるかな。ドライブとか、自然に触れ合ったりしたいです。誰もいない小川とかに行って鮎釣りしたり、なんか癒されたいのかも(笑)春か……やっぱり桜のあるところにも行きたいですね。名所とかスポットじゃなくていいので、田舎の桜が綺麗なところをぼーっと歩いたり、自分で持って行ったお茶を飲んだりしたい。今、ちょっと疲れてるからそう思うんでしょうけど、アクティブな時は季節を問わず、富士急ハイランドに行きたいとか言っています(笑)絶叫系大好き。でも今の今はぼーっとしたいです」

それでは最後に、新しい季節に向け、意気込みをお願いします。

「どうなるかわかんないです、正直。でも、どういう状況であれ、自分が楽しいと思える仕事でないとやる意味がないとは思っています。もちろんたくさん仕事をするのも大切だけど、自分がただ消費されていくよりも作品をやっていて自分が楽しんでいないと、受け手にも伝わっていかないので、大前提として毎瞬毎瞬、毎秒毎秒を楽しめたらな。怒ったり、泣いたりすることがあったとしても、これをやっていることに後悔はないと言える状態でありたい。それから、今よりも自分自身に発言力、発信力がつくように、それに見合った行動やプロとしての仕事をしていきたいです」

Profile

杉野遥亮

日本テレビドラマ『恋です! ~ヤンキー君と白杖ガール~』に出演。 Amazon Prime Video『僕の姉ちゃん』が配信中。またTBSドラマ『妻、小学生になる。』に出演中。2022 年の出演待機作に、映画『やがて海へと届く』などがある。

Information

【ミロ展-日本を夢みて】の 展覧会ナビゲーターに就任

スペイン・バルセロナが生んだ大芸術家、ジュアン・ミロ (1893-1983) の展覧会がスタート。ミロの初期作品から代表作品、さらにはミロが所有していた日本の民芸品や日本の芸術家との交流を示す資料などを通して、新たな角度から現代スペインの巨匠を紹介する。杉野さんは、会場にて貸出しの音声ガイドに登場する。

会期 : 2022年2月11日 (金・祝) ~ 4月17日 (日)
休館日 : 2月15日 (火) 、3月22日 (火)
会場 : Bunkamura ザ・ミュージアム

*会期中すべての土日祝および4月11日(月)~4月17日(日)は入場チケットとは別に【オンラインによる入場日時予約】 が必要です。予約受付等詳細は展覧会HPをご確認ください。
*状況により、会期・ 開館時間等が変更となる可能性がございます。最新情報など詳細は展覧会HPをご確認ください。

ジュアン・ミロ《絵画 (カタツムリ、女、花、星) 》1934年 油彩、キャン バス 国立ソフィア王妃芸術センター Photographic Archives Museo Nacional Centro de Arte Reina Sofia, Madrid © Successió Miró / ADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo, 2022 E4304

Photography  YUYA SHIMAHARA
Hair & Makeup  YASUSHI GOTO
Styling  AYANO NAKAI
Model  YOSUKE SUGINO
Edit & Text  TOKO TOGASHI

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