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PHOTOGRAPHER

Yuya Shimahara

嶌原 佑矢 / 1985年、大阪府生まれ。主にファッション、ポートレイト、風景、静物などの撮影を手がける。

今回天体をテーマにされていますが、この作品が生まれたきっかけは?

ARTIDA OUDというジュエリーブランドから個展の依頼があって始まったプロジェクトでした。ブランド自体のコンセプトである「raw beauty=ありのままの美しさ」というキーワードと、そのタイミングで“冬の空”というテーマのジュエリーラインが出るとのことだったので、天体というモチーフはぴったりだなと。

もともと天体の写真をよく撮られていたのですか?

全然撮っていなかったですね。写真を始めた頃、自然をテーマに作品を作っていて、またいつかは作品作りたいなと思っていたのですが。多分今の僕が展示をやるとなると、皆さん人物の写真作品だろうと思ってしまうかもしれないですが、いい意味でそこを裏切れたかなと思っています。

天体の自然美と、建築物の無機質さが絶妙なバランスですが、この作風にいたった経緯は?

企画のお話をいただいてから1年くらい星や月を撮り続けていたんですが、コロナの影響で展示が延期になってしまったんです。最初は「raw beauty」というテーマに自分で呪縛みたいに囚われていて、本当に綺麗な星空をただただ撮っていたのですが、時間がたっぷりとできたことで僕のなかでも作品がフレッシュではなくなってきてしまって。段々とああしたいこうしたいと色々な考えが出てきて、もう一度見直して作り直すことにしました。

僕自身、もともとフィルム写真や自然な写真、綺麗な写真がすごい好きなんですが、あえて写真を切り取って貼り付けて作った、写真を記録として撮る人達からしたら、一見タブーじゃないかと思ってしまうような表現ですよね。でもそういう手法をあえてデジタル表現として取り入れて、最終的にこのスタイルになりました。

自然なものと、不自然なものをあえて合体させたと。裏表紙の作品は、昼の写真なのか、夜の写真なのかどちらなんだろうという、不思議な違和感を感じる1枚でした。

今回の作品すべて、天体の部分は撮った写真のありのままなんですよね。だから裏表紙の写真も昼の月です。天体の部分は大袈裟に見せるのではなくできるだけリアルにしたかった。反対に建築物の部分は不自然というか非現実的な、壁にも太陽と月とは別の方角から光を作っていて、実際目でみるものと違うものにすることで、シュルレアリスムのような表現作品になっています。ただ、建築写真が撮りたかったわけではなく、あくまでも天体が主役の、本当になんでもない、造形美として。

そして、これはちょっと難しくなってしまうので裏テーマにしていたのですが、「今この窓にはこの月は絶対見え得ないのだけど、自転と公転の関係で何百年とか何千年後には、もしかしたらここに見えるかもしれない」そんな、ちょっとロマンティックなことを考えて制作しました。

天体の写真をあえてパノラマで見せるのではなく、正方形にしたという点にもこだわりを感じるのですがどういった意図があったのでしょう。

建築と天体をミックスする際に、建築の線とか曲線とかをどうしてもいれたかったんです。それはなぜかと言うと、“静”を表現したかったから。展示場所の雰囲気も考えて、すごく静かな世界観を作りたかったので、あえて星の位置とかフレーミングにこだわって、なおかつ正方形にすることで、ちょっと奇妙なアングルというか、写真じゃない絵のような世界観を作りたかったんです。あと、天体は常に移動していているので“動”ですよね、そことの対比もポイントです。今回の作品はそういう意味では、デザイン性が強いかもしれないですね。

嶌原さんの作品は余白を感じるというか。人物や物のまとう空気感を、写真の構図が表している気がします。天体にもそういう構図の美しさというか、比率や数式的な美しさを感じますよね。

撮影中はいろいろなことを意識しますが、人物を撮るときも風景を撮るときも、フレーミングが僕の一番特徴的な部分だなと思っています。建築写真とかも好きで昔からよく見ているのですが、その影響もありパースが綺麗な写真を意識して撮っています。

撮影で苦労したことはありましたか?

1年撮っていたと言っても、星が綺麗に見える日って月明かりのない新月を狙っていくのですが、月の満ち欠けの関係でひと月に1-2回しかないんですよね。しかもその日に曇ったらもうアウト。他にも空気が澄んでいるとか、色々な条件が全部揃わないと綺麗な星は見られない。人気のない山奥に車で何時間もかけて行っても、条件が揃わず撮れない日もありましたね。

展示会は反響も大きかったのではないですか?

本当にすごくよくて。想像がつかないくらい、たくさんの人に見ていただきました。紙質やフレームにもこだわって制作したのですが、SNSで皆さんがお家に飾った写真をあげてくれているのを拝見しました。それぞれが暮らす環境にこの作品が合うと思ってくれたんだなあとか、自分では想像していなかった落とし込み方が見られて。アートが好きじゃなくても、星がきれいとかそういう風に興味を持ってもらえたりもしました。自分が意図しないところで全く違う作用が発生していく。そういう感覚も初めてだったので、感動しましたし、すごくうれしかったですね。

今後、撮っていきたいと思っているもの・ことはありますか?

星の作品はずっと制作していこうと思っています。基本的に何企画か並行して制作しているのですが、今は「きょうだい」をずっと撮っているんです。大人から子供まで、いろいろなかたちのきょうだいを紐解く内容で撮っています。結構いつも、コンセプトベースで動くので、このコンセプトだからこういう表現がしたいとか、こういう作品を作りたいからこのカメラ使おうとか、そういうことを考えてやっています。

「きょうだい」のテーマ、すごく楽しみです……。今後、写真以外にやってみたいアート活動はありますか?

やりたいことはいっぱいあるんですが、選ぶとしたらなんだろう。箱とか作ってみたいですね、パッケージデザインみたいな。線とか曲線がめちゃくちゃ好きなんですよね。緻密に作られてる箱とかもらうと、きゅんきゅんします。

そうなんですね、今回お伺いしていてそれがすごく新しい発見でした(笑)。

だから今回のフレーム製作もすごく楽しかったです。1:1って写真としては落とし込むのが難しいんですけど。難しいこの箱のなかでどうしても表現したかったんですよね。

色々トライもできる、それが作品づくりの良さですよね。 ありがとうございました。今後の作品も楽しみにしています!

INFORMATION

COLLABORATION GOODS

「Arts & Letters」では、ご紹介させていただいたアーティストの作品をコラボレーショングッズとして販売します。

受注販売期間:5月30日 (月) 18:00 〜6月12日 (日) 23:59

<展開アイテム>
Tシャツ1種
販売価格:5000円(税抜)
デザイン:片面・フロント/フルカラー印刷
ボディ色:ホワイト
サイズ展開:S,M,L,XL

トート1種
販売価格:3000円(税抜)
デザイン:片面/フルカラー印刷
ボディ色:ナチュラル
サイズ:横幅36x高さ37xマチ11x持ち手47

EDIT & TEXT TAKASHI TOGAWA 
TEXT YUKA ENOMOTO 

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