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About

 富山県高岡市。国宝瑞龍寺や高岡大仏を有する北陸の地で、株式会社能作は、2016年に創業100周年を迎えた。

 富山県の北西部に位置する高岡市は、1609(慶長14)年に、加賀藩主の前田利長が高岡の町を開き、「商工業の町」として発展を遂げてきた。伝統的工芸品である「高岡銅器」は、加賀前田藩が現在の金屋町に、鋳物師いもじを招いたことから始まったとされている。

能作の工場。様々な技術や素材が使い分けられ、多品種少量生産体制がとられている。

1916(大正5)年、株式会社能作は、伝統の鋳造技術を用いた青銅鋳物の仏具製造を開始。創業当初は、仏具や茶道具、花器を中心に製造していたが、近年では、高度な鋳造技術をいかし、テーブルウェアや風鈴など、より生活に根ざしたアイテムを手がけている。さらに、海外デザイナーとのコラボレーションを積極的に行ったり、欧米の展示会へ出展を続けるなど、能作のものづくりは、国内のみならず海外にも広がりをみせている。

 高岡銅器の伝統的な鋳造技術を受け継ぐ「能作」。高岡銅器の工程は、原則的には分業化され、それぞれ高い専門技術が要求される。

 はじめに原型師と呼ばれる職人が、製品と同じ形状の木型を作る。木型の周りに砂を突き固めて木型を抜き、鋳型ができる。さらに、その鋳型に溶解した金属を流し込み、型を外して加工(研磨、着色、彫金など)を施し、仕上げをして製品が完成する。

鋳型に金属を流し込む様子。型から取り出してできた金属製品を、「鋳物」という。

 使われる素材は、錫、真鍮、青銅が主。錫は金、銀の次に高価な金属として知られ、酸化しにくく抗菌作用が強い。純度100%の錫は、非常に柔らかく、手で簡単に曲げる事ができる。真鍮は銅と亜鉛の合金。5円玉や、建築金物、仏具、楽器の材料としてもよく使用される。青銅は銅と錫の合金で、「ブロンズ」としてなじみが深い。

ひとつひとつ、ろくろで生地の仕上げの作業が行われる。

能作は、伝統的な技術・技法を用いながら、新たな技術研究や商品開発に取り組み続けている。

Crafts

KAGO –スクエア–

KAGO – スクエア– M ¥8,500(能作)

柔らかい錫すず素材は、曲がってしまうことが難点だが、その特徴を逆手に取り、使い手が「曲げて使う」ことをコンセプトとした商品。引っ張ったり曲げたりすることで、フラットな形(左頁参照)からカゴ状に変化。フルーツやパンなどを入れられる。「能作」のルーツになったとも言える、人気の高い商品。

kakumaruとmarumaru

Left:kakumaru Right:marumaru 各¥4,600(能作)

真鍮製の風鈴。澄んだ美しい高音は、真鍮ならでは。ゴールドの「marumaru」、シルバーの「kakumaru」は、「下から見ても美しい形」にデザインされている。富山県高岡市の伝統工芸「鋳物」の技術をいかしながらも、シンプルなデザインが採用されているので、現代のライフスタイルに自然に溶け込む。

シャンパングラスとぐい呑

シャンパングラス - L 金箔¥11,000、ぐい呑 - 大 金箔¥5,200(ともに能作)

石川県金沢市を代表する伝統工芸品「金箔」と富山県高岡市の「鋳物」の技術が融合した、美しい酒器。素材として使われている錫は、熱伝導率が高いため、器に冷たさが伝わりやすい。職人の手によって、ひとつひとつ仕上げられている。

Photography KENGO MOTOIE
Edit & Text YURIKO HORIE

こちらの情報は『CYAN ISSUE 012』に掲載されたものを再編集したものです。