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 日本の女性に欠かせない冬のヘルシーフードといえば、第一に思い出すのはやはり、しょうがを使って体の中からあたためるレシピ。紀元前5世紀ごろから生薬として用いられてきたしょうがは、中国では生のものであれば生姜しょうきょう、皮を取って蒸して乾燥させたものは乾姜かんきょうとして区別して用いられてきました。生姜しょうきょうは食欲不振や吐き気を改善する健胃作用や、風邪の引きはじめの熱や咳などの発散作用があるとされており、乾姜かんきょうは、体を芯からあたためる作用のほか、胃腸の冷えからくる下痢や便秘などを和らげる強壮・健胃作用があるとされています。ほか消炎作用や循環機能促進など、様々な作用があるとされ、人々の暮らしに活かされてきました。

 この作用の違いは、漢方の世界では伝統的に定められてきたものですが、科学的にも成分の違いが証明されています。しょうがの辛さの元となる成分は、元々のピリッとした辛さの元である「ジンゲロール」と、ジンゲロールが加熱によって変化し、後からじわりとやってくる辛さのもととなる成分の「ショウガオール」が代表的なもの。ショウガオールのほかにも、ジンゲロールは加熱によって「ジンゲロン」という成分にも変化しますが、占める割合はジンゲロールとショウガオールがほとんどです。生のしょうがにはジンゲロールが多く、それが保存期間を経たり、加熱によって増えるのがショウガオール、というわけです。

ジンジャーエールやジンジャーソースなど、アジアが遠かった時代のショウガオールの特性を活用したヨーロッパのレシピはまさに、暮らしの知恵。

 しょうがは大昔から人間の健やかさに大いに役立つと知られていたため、記録がないほど古い時代から人間の手によって栽培されてきた植物です。そのため、実は、野生のしょうがというものが発見されたことはありません。ゆえに、現在になっても原産地は(大まかに熱帯アジアという説が有名ですが)未だに「不明」となっているそうです。

 ご紹介した通り、しょうがは東洋原産と考えられていますが、もちろんジンジャーエールやジンジャークッキーなど西洋の食べ物としてもお馴染みです。しかし、それらはどことなく甘くてマイルドなイメージ。アジア人がしょうが料理と聞いてパッと思いつくのは、もっぱら生のしょうがを使った、ピリリと辛味があって食欲が湧き、そしてじわっと体を温めるような料理ではないでしょうか。

 実は紀元前1世紀頃には、既にヨーロッパにも伝来していたという記述は残っているのですが、ヨーロッパの気候はしょうがの栽培には適さなかったため、長らく生薬として知られていました。中世になってようやくマルコ・ポーロが料理にも用いる植物としてのしょうがを紹介してから、ヨーロッパではこしょうと同じぐらい珍重されるようになり、以来、アジアの植民地に進んで栽培されるようになった…と言われています。ということは、アジアから船で運んでヨーロッパ大陸に着く頃には、すっかり乾いてしまっていたのでしょう。先述の、生のしょうがに多いジンゲロールの効能を活用した夏向きの食欲が湧く料理ではなく、ショウガオールの持つ効能を想起させるような冬向きの料理が発達したことは歴史の必然と言えそうです。

夏の食欲不振に、冬の寒さ対策に。 使い分けたい、しょうがの威力。

Ginger

しょうがの旬は、10月から11月まで。この間に手に入る白っぽく端が赤いフレッシュな生姜は「新生姜」と呼ばれています。山崎由貴さんは、小さな頃からこの時期「実家で母が甘酢漬けにして、ガリとしてはもちろん、甘酢を隠し味として色々な料理に入れていました」と言います。通年手に入る生のしょうがは「ひね生姜」と言って、色も茶色っぽく変わります。アジア料理だけでなく西洋の意外な料理に加えれば、ぐっと新鮮な雰囲気に仕上がりそうです。
 
 

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Photographer SUGURU KUMAKI(io)
Styling YUKI YAMAZAKI
Edit & Text KAORU TATEISHI

こちらの情報は『CYAN ISSUE 015』に掲載されたものを再編集したものです。

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