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スリランカの食といえば、どんなイメージがあるでしょうか。インドの東にある島国で、セイロンティーの島。そんなふうにこの国を知る人は多いかもしれません。

日本にあるスリランカ料理店でも、メインに来る料理はインドの食文化に近く、カレーをよく目にします。スリランカは「ライス・アンド・カリー」、つまりご飯とおかずをいただくという文化のため、基本の主食はお米です。伝統的な食べ方では、ナンはあまり食べないようです。バナナの葉の上に幾つかのカレールーを載せて、手で食べるのが一般的。スプーンは、特別にお願いしないと出てこないお店も少なくないようです。島国のため、魚介を使ったカレーが多く見られ、その他には北インドカレーのようにミルクやバターを使わず、ココナッツミルクを使ったカレーもスリランカに特徴的なものですが、いちばんの特徴は、なんと言ってもその辛さ。さすがアーユルヴェーダの国!? と感嘆してしまう程の、スパイスをたっぷり使ったガツンと来る辛さはなかなかのもの。と言っても、普段は外国人観光客向けにマイルドに調節して出してくれるお店が多いので、もしローカル気分を満喫したければ、店員さんに「あなたがいつも食べているものと同じ辛さを」とオーダーしてみることをおすすめします。きっと、記憶に残るような辛さを楽しめることでしょう。

ご飯を香り高く炊き上げるパンダンリーフ(左)や、柑橘系の香りであらゆる料理に香りを添えるカレーリーフ(右)は、日本でフレッシュなものに出会えたらラッキー。

スリランカ料理に主に使用されるスパイスは、コリアンダーやターメリック、クミン、クローブ、チリペッパー、ブラックペッパー、フェンネル、カルダモンなどの世界的にメジャーなものから、カレーリーフやパンダンリーフなど、日本ではあまりお目にかからないようなフレッシュハーブも使われます。これらは独特な香りで料理やご飯を包んで食べる、アジアらしい風味を引き立ててくれるハーブです。

スリランカのパワフルなスパイスを、ライフスタイルに取り入れる。(左から)1. アーユルヴェーダにも用いられる伝統的なハーブとオイルで作った歯磨き粉。こちらは日本でよく見る、ペースト状で使いやすい。シダレッパ スムドゥ¥800(シンシア・ガーデン)、2.こちらは粒子を感じる舌触りのよりスパイシーなおもむき。スムドゥとともに、合成界面活性剤フリーなのも嬉しい。シダレッパ スピリヴィッキー、¥760(シンシア・ガーデン)3. スリランカでは、食用ではなくアーユルヴェーダのマッサージに欠かせないセサミオイル。ボディに塗ってすっきりと。セサミオイル(生ゴマ油)100ml¥800(生活の木)、4. スリランカでは、風邪気味の時や寒い日に飲んだりとあたための用途で愛されているインスタントティー、サマハン。ブラックペッパー、ジンジャー、コリアンダーなど14種類のスパイスにきび糖が入った、お湯を注いでそのまま楽しめるパンチの効いたクセになる味わい。サマハン(10包)¥630/TRUENATURAL(アスパック企業)

スリランカといえば、忘れてはいけないのがやはりセイロンティー。「セイロン」という名前は、ポルトガルがスリランカを植民地化した1505年からオランダ、イギリスと統治国を変えながら1948年まで使われていた名です。それまで盛んであったコーヒー栽培の代替として、茶の木の栽培を始めたと言われています。そんなセイロンティーを“世界一美味しい紅茶”として知らしめたのが、「紅茶王」と呼ばれ、紅茶のブランド名として今でも名を残すサー・トーマス・リプトンでした。手頃で上質な紅茶として主に輸出用に作られたセイロンティー。スリランカの人々が飲む量は、全生産量のたった4%でした。それもカットの形が悪いとか、日本で言う「荒茶」のように葉を整えていない状態のものがほとんどなのだそうです。ゆえに、スリランカへ旅行して、現地で「美味しい紅茶はどこで買えるの?」と聞くと「質のいいものはあなたの国に出しちゃったから、ここにはないよ」なんて冗談交じりに言われてしまうことも。しかし、そこはやはり上質な味わいで知られるセイロンティー。華やかな美味しさと香りは、褪せることはありません。ローカルのように空気とスキムミルクをたっぷり含ませたミルクティーで頂きたいものです。

素朴さ、豪華さ。色とりどりの 表情を持つ、スリランカの食の魅力。

もう一つ、スリランカ発祥のものが「セレンディピティ」という言葉。これはイギリスの小説家ホレス・ウォルポールが読んだと言われるペルシャの童話に出てくる、スリランカの賢く、洞察力に秀でた3人の王子様の物語から来た言葉なのだそうです。その意味は「偶然や賢さによって、予期せぬ幸運に出会う能力」。当時の地中海を中心とした世界にはなかったものや知恵は、魔術的にも映ったのかもしれません。

世界から、新しい可能性が拓ける場所として憧れられたスリランカ。現代の私たちにとっても、知るほどに新しいインスピレーションが見つかる場所なのかもしれません。

Photographer SUGURU KUMAKI(io)
Styling YUKI YAMAZAKI
Edit & Text KAORU TATEISHI

こちらの情報は『CYAN ISSUE 016』に掲載されたものを再編集したものです。

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