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ブランドのはじまり

“スリランカの伝統医療であるアーユルヴェーダの魅力を、国際社会に広めたい……”そんな熱い想いが込められてスタートした「スパセイロン」は、2009年にシワンサとシャリーンという二人の兄弟が設立した。そのルーツには、彼らの母・ジャネットの存在が色濃い。彼女はスリランカの美容産業の指導者であり、本国で初のコスメブランドを立ち上げた人物だ。「 母は自宅で手作りしていた自身の化粧品を、大きな工場で生産するほどのブランドへと成長させました。私たちは彼女が事業を拡大し、スリランカ初の美容ブランドとしてビジネスを築き上げる様子を間近で見て育ったのです。(シャリーン以下S)」ジャネットは低価格帯のアーユルヴェーダ製品を販売していたが、彼らは長い間、ジャネットブランドの高級ラインを作りたいという思いを抱いていたという。「それまでに培った経験を活かし、プレミアム・カテゴリーの製品を開発したいと考えていました。その中で、古代セイロンのアーユルヴェーダの思想をコンセプトにしようと思いついたのです。伝統的なアーユルヴェーダを再構築・再定義し、正しい方法で伝えることができれば、国際社会でも成功できると確信しました(S)」このような経緯のなか、2人は2005年にブランドのコンセプトと製品作りをスタート。2009年には、ラグジュアリーライフスタイルブランドとして本格的なデビューを果たした。現在、兄のシワンサが経営を取り仕切り、弟のシャリーンはマーケティング・広報活動のほか、ブランドイメージ構築のすべてを担当している。

左から兄シワンサ、母ジャネット、弟シャリーン。「母は、決定力と行動力にあふれた強い女性。非常に親切で寛大な人物で、いつも誰かを助けるために動いていました(S)」

製品開発について

スパセイロンの製品は、セイロン王室の伝統的なアーユルヴェーダ・レシピを元に、すべて専門医と共に開発されている。原料には最高級品質の植物のみを使用し、独自ブレンドのハーブの香りを融合。それらは本国にある自社工場で、昔ながらの製法を守りながら丁寧に調合されており、心地よい使用感とやさしい香りが特徴的。使うたびに、ストレスから解き放たれていくようなリラックス感に浸ることができる。ちなみに開発当初の製品パッケージはほぼグリーンだが、これには洒落の効いた秘密がある。実は国土の8割が宝石だと言われているジュエリー大国スリランカにおいて、発掘されない稀な石のひとつがエメラルド。そこで敢えて、エメラルドを連想させるグリーンを採用していたのだそうだ。

ブランドスタート時の、バス&ボディケア・ホームアロマ製品の数々。

スパ事業について

スパセイロンは、ブランドスタート時より物販と共にスパ事業も展開しており、そのクオリティの高さには目を見張るものがある。それを裏付ける証拠として、延べ140ヶ国が参加し、数々の有名外資系ホテルも名を連ねる権威あるタイトル“グローバル スパアワード”を3年連続で獲得。2017年には、各主要部門※で3冠に輝いた。トリートメントにはアーユルヴェーダの思想を取り入れたオリジナル開発のメソッドが取り入れられ、一連の手技を習得したセラピストのみが施術を担当。アーバンでリッチな演出と、トラディショナルで素朴なアーユルヴェーダの絶妙なバランスは、他では決して味わえないものだ。※グローバル部門 ベストラグジュアリーアーユルヴェーダスパ賞、アジア大陸部門 同スパグループ賞、南東アジア部門 同アーバンエスケープ賞

エキゾチックな雰囲気が漂い、ラグジュアリーな気分に浸れるトリートメントルーム。(写真はコロンボの店舗にあるカップルセラピールーム)

ブランドのこれから

現在スパセイロンは世界各国に進出し、展開国はすでに12ヶ国。2018年も、すでに5ヶ国への出店が決定しており、まさに飛ぶ鳥を落とす勢いで躍進している。彼らが大切にしている思想に、“ウィルビーイング”がある。これは、心と身体のバランスが取れ、満たされていることを示す。もともとアーユルヴェーダ医学においては、何かが特出して良いというよりも、押しなべてフラットな状態がベストだという考え方が採用されている。つまり、ドーシャバランスの乱れから起きる不調に対し、いかにして均衡を保っていくのか、そこを大切にしているのだ。すべてにおいてスペシャルを目指す必要はなく、“その人の一番いい状態”に戻してあげることに尽力する……。それが、スパセイロンの目指す方向だ。慌ただしく変化していくこの時代に、社会はリトリートの時間を必要としている。彼らはそんな私たちの淡いトリップ願望に、愛を持って応え続けてくれるだろう。

古代セイロン王国の伝統模様からインスパイアされた現代アートをストアイメージに転写。

Text SHIHO TOKIZAWA

こちらの情報は『CYAN ISSUE 016』に掲載されたものを再編集したものです。

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